なんかやった時の記録

誰かの役に経つかはわからないけれど、私と同じ趣味の人には分かるようなブログにしたいと思います。

純正エアクリーナーボックスの改造と吸気量と流速と…

以前1.8Tエンジンの1秒間の吸気量について調べたところ、常用回転数である、3000rpmで、純正ブースト圧1.0kPaをかけて走行すると約90Lの空気を吸うことになるという結果がでました。
計算式としましては
1.8L×過給圧1.0kPaで単純換算2倍なので3.6L
3000rpmは分速3000rpmなので、秒速にするにあたり60で割ると秒速50rpmになり、クランクシャフト2回転で1回の爆発なので吸気もしかりなので25rpmのはずです。なので、3.6×25という計算で90Lが成り立ちます。


しかしながら、TT8Nの1.8Tの純正エアクリナボックスの吸気ダクトのサイズは横幅8cm、高さ4.5cm程しかありません。


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計算すると36cm2程です。拳よりも狭い範囲で1秒あたり90Lの空気を吸わなきゃならないわけです。結構きついですよね

 

因みについでなのでアイドリング付近での1秒間の通過空気量は約13.5リットルです。しかし、これは過給してる時と違い、スロットルにより空気を100%吸い込めていないので恐らくもっと実際には流れる空気は少ないはずです。アイドリング時の負圧は-7.0kPa〜-75kPa位なので、仮で-7.0kPaで合わせて30kPa分の空気を吸うとなると簡易計算で4.5Lになります。
通常負圧で走っている分で流しているような時の負圧で走る分には低い量しか流れないので事足りる容量かもしれませんが…過給しながら回していくと途端に厳しそうですね。

 

恐らく、この1.8Tエンジンに乗っている人の普段の流している回転数は2000rpm前後ではないかと思います、私の普段の運転している中で1500rpmでも不具合はありませんし、たまにこのくらいになっちゃってる場合(5速で50キロ〜60キロ)を流してるとそんなもんなんですが、この車説明書に1500rpm以下で走らないでくれって書いてあるんですよね…おそらく、1500rpmは大丈夫ですが、そこからエンブレで下がってくと1250rpmあたりで燃料を吹くポイントがあり、その辺で走らないでくれってことだと思います。まぁ、余裕を持ってキリのいい1500rpm以下に下のでは無いかと思われます。
なので、私は1500rpm以下にならないように大体2000rpm以上で走ることにしています。
この1.8Tエンジンの最大トルクは2200回転でかかり始めます。
つまり、2000rpm前後でも十分なトルクがあるわけです。
さて、そんな2000rpm時の吸入空気量ですが、大気圧換算で30Lです。
が、先程同様に吸気管圧力の補正がかかりますので、大体流している時は-40〜-60kPa辺りで走行になるかと思うので、大まかに真ん中とって平均-50kPaで走行してるとしますか。
そうすると、15Lですね。
毎秒15Lの空気をアクセルパーシャルで2000rpmの時に吸い込んでいることになります。
しかし、フル過給(1kPa)してる時は同じ2000rpmでも吸気量は毎秒60Lに跳ね上がります。
過給していくと、中々36cm2の空間を通すには厳しくなりそうな雰囲気ですね。

私は現在3.2リッター用のエアクリーナーボックスの腰下を流用していまして、こちらのダクトサイズは横11cm縦幅で最大部で7cm、狭いところで5cmですので、平均して縦幅は6cmとして66cm2のダクトになっています。


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1.8T純正より2倍の口径になるわけですが、それでも、中々高回転は厳しいようですね。

ニュートラルで吹かすと簡単にエンジンが回りますが、これは無負荷なので、単にピストンを上げ下げするだけの為に必要とする吸気量が少ないので、エアクリーナーボックスの吸気ダクトのサイズの抵抗を受けないからだと思われます。

 

そこで、エアリーナーのボックスをカットすることにしました。


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こんな感じで清くスパッとキリのいいところで切りました。
というのは嘘で、よく見ないとわかりませんがちょうどエンジンのマウントのところで敷居になるようにカットしてあります。

まずこの写真のダクトテープの所を見てください。


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青い丸のところですね、ちょうどエンジンマウントの浮き出ている部分にダクトテープを付けました。

そして、このエアクリの隙間をみてください


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青い線でエアクリボックスとエンジンマウントに別れてます。上手い具合にエアクリボックスのダクトテープ(紫丸)の部分とエンジンマウント側に着いているダクトテープ(赤丸)の部分が上手く噛み合っていると思います。

ちょこっとだけ隙間があるのはご愛嬌ということで、エンジンのマウントより右側が空いていればエンジンの熱を吸引しなくて済むかなと思ったので、これ以上カットするとエンジンの熱をモロに吸ってしまいそうだったのでこうしました。

 

私の車両はエアクリ側のヘッドライトの付近に走行風を取り入れるダクトを取り付けてあるのでそこからボンネット内に入り込んだ走行風をそのままこのエアクリーナーから吸う事で吸気温対策をしています。

 

冬場なんかは吸気温が下がりすぎてしまい燃料がしっかりと霧化せず燃焼効率に影響しているような気がしてなりません。

現に渋滞等でダラダラと走っていて渋滞が終わったあとの方がスムーズな気がしてなりません。

なので、TT8N Quattroはバンパーの両サイドにインタークーラーがあるのですが、冬場は片方ナンバーで塞いでしまっています。

 

話がそれましたが、本題のエアクリーナーボックスのダクトの容量はどのくらい広がったのでしょうか?

カットした表面積を測ってみますと。


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ちょっと難しいので大体で計算してざっと400cm2ってところですかね。

今までが66cm2でしたから、約6倍の口径になりました。

400cm2というと、このダクトの高さ1cmだとすると、400mlということになります。

つまり、瞬時に400mlは吸い込めるようになるわけです。

因みに、エアクリーナーを通ったあとはエアフロメーターを通るわけですが、エアフロの内径は

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約70mmです。

タービンの入口は

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約43mmといったところですから、かなり、サンクション部にてテーパーが着いている模様です、おそらく、流速を上げるためにエアフロからのサクションパイプで細くなっていると思われますが、思ったよりタービンの入口が狭いのは意外でした。

タービンサイズはK04タービンと言われるサイズです、1.8Lだとまぁ普通くらいのサイズですね、FFモデルとA3なんかだとひとつ小さなK03タービンなので、やはりダウンサイジングターボなんだなと思います。

サイズはちょっと分かりかねますが

写真で見ると

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こんな感じです、カタツムリが同じサイズだとすると、入口の径がやはり、小さいですよね。

38mmくらいなのかも?しれませんね。

最大ブースト圧は0.8kPa程度までの様です。

0.2kPa程K04タービンの方が設定が高いわけです。

また、K04タービンは1.5kPaまでくらいなら容量的に行けそうです。

 

 

先程2000rpmパーシャルアクセルで毎秒60Lの空気を吸ってると言いましたが、最終的にタービンの手前では43mmとなっています。つまり、私素人如きが43mm程度では到底90L程の空気も吸えないと思っていましたが、43mmごときでも吸えているのでしょうか…

 

43mm配管の適正な流量を見てみました、すると、風速1m/sで4.1Lまでなら吸えるらしいです。ということは?

3000rpmでフル過給して1kPaを掛けると毎秒90L必要になるので、流速は約62m/sです。

62×4.1で258Lまでは行けるっぽいですなぁ。

意外とあんな狭き所から吸えるもんですね。秒速258Lも吸えるんですよ。

ということで、レッドゾーンの6700rpm時にフルブーストを掛けても毎秒201Lなので、容量的には足りていますね。

風速が上がれば上がるほど、抵抗も増えるので、実際に配管を流れる空気量は10%位少なくなるのでは?と思いますが。それでも220Lは吸えるので大丈夫そうですね。

ちなみにレッドゾーン6700rpmで過給1.0kPa時の43mmのタービン入口での風速は137.72m/sとのことです。

時速に直すと493.2kmです。リニアモーターカー並の速さですね。

因みに空気の流れの速さには上限がありまして、それは340m/sです。

これは、音速は越えられないという壁があるからです。

その時速は1224kmです。マッハ1と言うやつですね。

 

とまぁ、色々と寄り道をしたんですが、今回のエアクリのボックスの話ですね。

NAの車だと、エアクリーナーボックスがいわゆるチャンバー効果をもたらし、エアクリーナーボックスからスロットルまでがひとつのセッティングとして吸気慣性を用いた吸気ラインになっているので下手に変えるとバランスが崩れておかしなことになる可能性が高いです。

が、ターボ車の場合タービンレスポンスを考えると、なるべくならタービンの前の所は無抵抗な方がいいでしょう。抵抗があればあるほど、タービンを回した時の抵抗になるし、排気の抜けにも影響するし、同じタービンの回転数でも圧縮出来る空気の量が違ってくるでしょう。

しかし、純正ではあえてエアクリーナーボックスからタービンの間のサクション部にて、負圧を発生させたい理由もあります。

それは、クランクケースの内圧のコントロールにあります。

現在はシールド方式とクローズド方式がある訳ですが、どちらもクランクケースに吹き抜けたブローバイガスをサクション部にて吸気ラインに混ぜて再燃焼させているわけですが、サクション部で負圧にさせないとクランクケース内のブローバイガスを引き抜けません、大気開放が禁止されて出てきた単純なシールド方式であればもともと大気開放する物を吸気ラインに混ぜりゃいいやって考えなので負圧がどうのとかは全く考えてないでしょう。

しかし、近年のクローズド方式は積極的にクランクケース内の圧力を下げようとしています。

アイドリング中などではサージタンクの負圧を利用してクランクケース内のガスを引き抜き、走行中は運転状況に応じて(サージタンクの圧力に応じて)サクション部とサージタンクの2系統からクランクケースのガスを吸い出してクランクケース内圧を下げようとしています。

もちろん、アイドル中のサージタンク負圧が全開でかかってしまうとシール類が負圧に耐えられなくなり吹き抜けて閉まったりするので、PCVバルブを介して新鮮な空気をクランクケースに循環させるためにサクション部から微妙にクーリングエアを吸い込んでいます。

このPCVバルブは単純なワンウェイではなく、圧力に応じて通気経路をリニアに変える機構を備えたものであり、ワンウェイバルブとしてはもちろんの事、あまりにも吸い出しの力が強いと閉じるようになっています。

つまり、エンジニアの設定する最適な負圧の状況のみ作動するバルブという訳です。

ターボ車の場合は過給することでサージタンク内圧が正圧になりますから、その時はPCVバルブは閉じますのでサクション部にてブローバイガスを吸い出す訳ですが、ここでもクランクケース内圧を下げなくてはならない重要な意味があります。

それは、ターボを潤滑下オイルはクランクケースの内圧によってオイルパンに戻るということです。

クランクケースを弱負圧にすることで、タービンを潤滑したオイルがオイルパンにしっかり戻ってくると言うことです。

潤滑したオイルがオイルパンに戻らなくなるとどうなるのか、それは、メタルタービンなら軸を潤滑したオイルがそのままタービン内に漏れだして排気側なら排気熱により白煙の原因になるし、吸気側ならそのままインタークーラーやスロットルを汚損することとなります。

また、昨今というか、割と前からクランクケースの減圧が騒がれていますが、私のTTは2000年にも関わらず既にこのクランクケースの減圧を行っていたわけです。

減圧もし過ぎは良くないですから、正圧ではなく、若干でも負圧になっていれば十分です。

そういった観点でサクション部で抵抗を付けることもあるかと思います。

そういった意味では今回のエアクリーナーボックスのカットはクランクケースの減圧効果を阻害するものかもしれないです、しかしながらやはり、パンっと踏んだ時にすぐさまレスポンスよく過給してくれてブースト計の針がビュンっと最大過給圧まで上がってくれた方が気持ち的にいいなぁと言うことでこれはこれでいいかなぁともいます。

もしかしたらまた元に戻すかもしれませんが…