なんかやった時の記録

誰かの役に経つかはわからないけれど、私と同じ趣味の人には分かるようなブログにしたいと思います。

ターボ車特有の?出だしのしゃくりの改善。

停止時から走り出す際にアクセル開度は同じ一定かもしくは走り出すためにアクセルを開けているはずなのに、クラッチを繋いで1速で走り始めた次の一瞬エンジンがしゃくるというか失速というかパワーが抜けるところがあるんですよね。

それは、まるでその瞬間アクセルを緩めてしまったんじゃないか?と思うほどに。

 

AUDIVWグループの一昔前の1800CC 4気筒5バルブターボエンジン(以下1.8Tエンジン)はだいぶ低回転でトルクが出るエンジンなので出だしで半クラはあまり必要なくクラッチペダルを戻してきてチョンと反応があった所からアクセルと同時にクラッチを繋いで走れてしまいます。

 

因みに教習所で習ったように半クラにして、アクセルを開けながら繋いでゆく、こういった運転の方法で走ればTTも出だしで息継ぎはしないのです。

 

つまり、アイドル時の吸気の流れからアクセルonで走り出すとしゃくり、少しアクセルを煽ってある程度のエンジン回転数の吸気の流れがある状態で走り出すとしゃくらないということです。

 

ターボ車は吸気経路が長いのとインタークーラーやタービンが抵抗になり出だしで少しだけスロットルを開けた時に一瞬は吸気管内の空気があるものの、それを吸った後はタービン越しの空気をエアクリから供給しければならないですから反応が悪いのではないか?

もちろん、アイドリングでもエアを吸っているのでエアクリからタービン越しにスロットルの流れは出来ていると思いますが、吸気慣性的な力はそこまでないので、スロットルを開いた際は長い経路でもってエアを吸わなければならないのでレスポンスが悪くなるのだろうなと。

あらかじめアクセルを煽った状態であれば回転数が上がり吸気経路内の吸気慣性がある状態で、エンジンが回ってるので排気ガスにタービン回転数も上がるので、自ずと吸気側のタービンも回転数が上がり抵抗にならずエンジンに吸気されていくのでレスポンスが悪くならずに吸気されてしゃくらないのではないかと思いました。

 

タービンはアイドルでも普通は回っているものでありますが、一体このアイドル付近でのタービン回転数が吸気にとって抵抗になる回転数なのか、むしろ回転していることによりサクション部に吸気負圧が発生するほどなのかは定かではありませんが、私が思うに、アイドル時のタービンの回転数なんかではエンジンの吸気の抵抗になっているのではないかと思っています。

 

今回はそんなターボ車特有?の出だしのレスポンスの悪さを少しでも改善し、出だしの力強さとスムーズさを手に入れるためにひとつ小細工をしてみましたところ、なかなかどうしていい感じになりましたので履歴に残してみたいと思います。

 

初めに、この手の出だしの息継ぎ感とかの不具合は大抵点火系が悪いと判断されると思います。

そこで私はプラグを新品の純正熱価のものに変えてみたり、強化コイルに変えたりプラグギャップをいじってみたりしてきましたが、改善はしませんでした。また、プラグの燃焼の状態も4気筒均一です。

しかし、そことは全く関係ない長年続けてきたブローバイガスの抜き方と処理の仕方で試行錯誤していた一時期その出だしのもっさり感が無くなった時があったのです。

 

それは、ブローバイ配管を純正に近い仕様に戻した時でした。

もちろん、その前にもクランクケースを減圧した際もこのしゃくりはだいぶ影を潜めたというか、スムーズに加速してくれたのですが、根本的には違ったのです。

また、クランクケースを減圧しすぎた時に再度しゃくりが発生したのですが、それは減圧し過ぎたというより他にある原因というか要因があったからでした。

 

ヒントは純正のブローバイガスの処理方法にありました。

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この図を見てもなんのこっちゃると思いますが、他の車はあまりわかりませんが、現在の大概の車はエンジンからPCVを経由してインマニに行くライン(以下Pライン)とエンジンからサクション部へ行くライン(以下Sライン)の2系統があると思います。

このPCVを用いたクランクケース掃気システムをクローズ方式と呼びインマニ圧が負圧の時は、インマニ圧に引かれてPラインを用いてPCV越しにクランクケースのガスを抜きつつ、サクションからSラインを用いて新鮮な空気を引っ張ってクランクケース内を通すことで掃気してます。

つまり、エンジンからPラインとSラインが独立して2系統存在するわけです。これは、エンジンヘッドから2系統出ているものもあれば、1.8Tエンジンの様にエンジンヘッドからと直接クランクケースから出ているものもあるかと思います。

なんにせよこのクローズシステムのおかげでクランクケースにブローバイガスがたまらなくて尚且つ新鮮な空気で掃気しているのでオイルの劣化が抑えられてると言われています。

 

しかし、1.8Tエンジンはクランクケース内の掃気はあまり考えてない様でPラインとSラインが繋がっちゃってます。

 

赤丸のところがクランクケースからの排出口

緑丸のところがサクションに繋がっている部分

青丸はPCVです。

図がちょっとTT8Nと合致している訳ではありませんが、だいたい概要は似ているというところです。

 

通常クランクケース掃気型のエアの流れは

一般的な車のクランク室掃気型の負圧走行時のブローバイの流れ

インマニ←PCV←エンジン←サクション←エアクリ

となるはずですが、PラインとSラインが繋がってるということは。

1.8Tエンジンのブローバイの流れ

インマニ←PCV←サクション←エアクリ

                   ↑←エンジン←↓

になると言っても過言ではありません。

そして、構造的な細かいことを言うと、この1.8Tエンジンはブローバイの排出をエンジンヘッドからだけではなくクランクケースから直で抜いてます。そして、クランクケースに近い方でPCVによって引き抜いています。

もちろん、ドイツ車ですから色々と考えてこのスタイルにしているんだと思います。

そこで私なりにどうしてこうなったのか考えてみました。

  1. そもそも、掃気だと言って外気をクランクケース内に入れてもそれはそれでオイルが劣化する。
  2. PCV越しにブローバイガスばかり吸ってるとインマニや燃焼室が汚れるからエアクリからの綺麗な空気と混合してる
  3. 上記により混合することでエンジンの吸気する空気の酸素量を確保している、あんまりブローバイガスを吸ってると酸素率が足りなくてパワーが落ちますからね。
  4. ブローバイガスを引き抜く位置がエンジンヘッドではなくクランクケースから直で引っ張ってきているからオイルミストが多く噴出しているので全量のブローバイガスを吸ってるとオイルも燃やしてしまいオイルが無くなるからサクションから空気を取り入れないと大変な事になる(これはその昔クランクケース側の配管を外して走行した時の話ですが、そりゃもうすごい勢いでオイルを吹いてました。そりゃクランクケースに横穴空いてるようなもんですからね。フィルターをつけてましたが速攻でオイルまみれになりました。)
  5. エンジンヘッドとクランクケース両側からPCVで引き抜く事でクランクケースとエンジンヘッドの圧力差を均等にしている。これは、どっかのサイトで見たのですが、そもそもブローバイガスがいっぱい出るのはエンジンヘッド側の圧力とクランクケースの圧力がマッチしてなくてその差圧で出るんだそうな?なのでエンジンヘッドとクランクケースをブローバイホースで繋ぐことで差圧をなくしてエンジンヘッドとクランクケース両方を同時に引き抜いている。それと同時に、インマニが正圧になった際はクランクケース直とエンジンヘッド両方からサクションに吸わせている。また、クランクケース直からはオイルミストがすごいからなのか、サクションに繋がる手前にクランクケースプレッシャーブリーザーバルブというのがついてて、オイルミストを分離すると共にインマニが負圧の際サクションからの空気の流量を抑えてクランクケースを若干の減圧にする機能が着いてます。これによりエンジンヘッドもクランクケースも若干の負圧になる仕組みです。
  6. アクセルONの時ターボをバイパスしてPCV越しにインマニにダイレクト吸気させている。PCVは言わばスロットルと機械的に同期していと言っても過言ではありません。スロットルが開くことでインマニの圧力が上がりそれに伴いPCVのバルブも開いてくるわけです、そして、スロットルが閉じインマニが減圧されるとそれに合わせてPCVのバルブも閉じるわけです。これにより極低負荷時且つ空気が必要な走り出しや、スロットルパーシャルからのONの時に必要な空気がエアクリからタービン、インタークーラーを通る長い吸気経路を通らないで即座に供給される訳ですからもしかするとレスポンスの意味で一役かっているかもしれません。これが仮にインマニがPCV越しに吸う空気が全部ブローバイガスだったらどうですか?アイドル時は基本的にそこまでPCVが開いてませんから場合によってはガスが滞留してるかも知れません、まぁ、アイドルでそこそこにガスが出てるようじゃエンジンがそろそろご臨終だと思うのですが、そこからのアクセルONで吸った空気が全部ブローバイガスだったらパワー出ませんね。もちろん、滞留ブローバイガスを吸いきったあとはサクションからの新気を吸うのですが、レスポンス的には…それなら多少なり新鮮な空気で希釈されたブローバイガスと新気ミックスの方がまだマシですよね。
  7. 熱々のブローバイガスに新気を混流させることでガスの温度を下げると共に吸入空気全体の温度低下と酸素量の確保で適切な燃焼に近ずけているのかも知れません。

 

だいぶ私の勝手な妄想が入り込んでますが、あながち間違いじゃなきような気がするのは、今回しゃくり感の改善が出来たから他ならないのですが、ここで話しが長くなるしこれを読んでる人がいるかどうかは別として既に今回私がどうやってもっさり感を解消したかお気づきになられてるかと思うのでそろそろネタばらしということで、結論から申し上げますと。

 

ブローバイ経路とは別にPCVを経由してインマニとサクションを繋ぐ

 

ということです。

 

今更ワンウェイバルブとPCVの違いは細かくは割合しますが簡単に言えばPCVはワンウェイバルブ+開く側にも一定以上の力が加わった場合、バルブを閉じる方向に動いて通気量を制御してくれるという事です。

これにより、インマニ負圧が強い時はPCVは閉じる方向に動くので空気を通しにくくなります。

これを使えば、エンジンブレーキやアイドリングの時はインマニに不用な空気が入らなくて済み、アクセルONでインマニが負圧の時だけインマニに空気が通るようになるのです。これが上記でも話したスロットルに同期してるというところです。

インマニが正圧になった場合は普通のワンウェイバルブと同じく空気を通しません。

上記の構造上の理由から、アクセルONからインマニ圧が正圧になるまでの間のみサクションからインマニに空気を供給してくれるわけです。

そして、エンジンブレーキ時やアイドル時は余計な空気を吸わないのでしっかりとエンジンブレーキも掛かり、アイドリング回転数も上がらないのでただのワンウェイバルブでは到底実現できない作用をもたらしているのです。

言わずもがなこれがただのワンウェイだとインマニが負圧の時は絶えずいかなる時も空気をそこからインマニに供給しアイドル回転数があがるし、スロットルを閉じてエンジンブレーキをかけているのに空気が永遠と混流するのでいつまで経っても燃料噴射が止まらずエンジンは回転を維持しようとするのでエンジンブレーキはかかりません。とても危険です。

最近の車の場合によってはインマニ内の圧力センサーとスロットルボジションセンサーとの差異によりエラーがでたりするかもしれません。

そりゃそうです、スロットルは限りなく全閉しているのにも関わらずインマニには空気が入ってしまっているのですから。

 

因みに、ブローオフバルブをスロットルの手前に持ってくる方が良いと言われていますが、それは単純にスロットルが閉じた時に行き場を失った空気がブローオフバルブを通して排出される構造からスロットル手前ならすぐ排出されていいのではないか?と言うことなんですが、もしかするとブローオフバルブをスロットルの手前に設置することで、通常のブローオフバルブはインマニ圧が負圧の時はその負圧につられてバルブを引き上げているので、バルブが開いている状態です。つまり負圧で走行している時はターボの手前からスロットル手前に直接空気を供給できるんですよね。

これももしかしたらターボ車のターボがかかるまでのレスポンスの悪さを多少は少なくしてくれているのかもしれません。

しかし、おそらく排気が増えた時点でタービンブレードは強く回るのでタービン側の吸気負圧が強くなってタービンの手前からスロットルまでって空気の流れはなくなるかもしれませんね。ターボを通る吸気慣性の方が強くなるので。

 

しかし、強化ブローオフバルブ、1.8Tエンジンの様にブローオフバルブの吹き返しの位置がタービンブレードのすぐそばの場合は無意味かもしれません。

強化ブローオフバルブはバネの圧力が強いのでアイドル時の高負圧ならまだしもアクセルを開き始めたインマニの負圧では少ししか開いていないでしょう。

さらに言えば、私が使っているトラストのFVなんかはバルブがフローティング構造になっていて二重構造なんですよね。内バルブと外バルブがあり、内バルブと外バルブの間にプリロードのかかったバネがあってインマニが正圧時は内バルブに正圧がかかり閉じていてその圧力とプリロードバネの二重の圧により外バルブも閉じている、インマニが負圧になると内バルブが引き上げられて開きますが、外バルブはプリロードのかかったバネにより閉じています。 しかし、スロットルが閉じられて行き場を失った空気自身の圧力はプリロードよりも強いのでそれによって外バルブは押し上げられ適切な量の排出を行いスロットル手前の余剰圧力がプリロードバネの圧力に負けた時点でインマニが負圧で内バルブが空いていてもプリロードバネによってバルブが閉じます。

通常のブローオフバルブではインマニが負圧=バルブ開なので、余剰加圧を排出しすぎてしまうんですよね、だから再度過給する際に抜きすぎた空気分も充填しないといけなくて時間がかかる、それを無くした画期的なシステムがこのトラストFVです。

しかし、悲しいことに、ある意味ワンウェイバルブの様な構造故にサクション側からは空気を引いて来れないのです。

 

そして、そもそも1.8Tエンジンはパッと見サクション部にブローオフバルブの返しが戻っていますが、サクションパイプの中で仕切りがあってタービンブレードの手前付近まで強制的に戻されています。
これは、タービンの回転を落とさないためだと思われます、通常アクセルオフに伴いインマニが負圧になりバルブが引き上げられて余剰圧力がサクション部に戻されるわけですが、アクセルオフの時は燃焼室は爆発してないので排気圧力が弱まるわけですからタービンを回す力が著しく落ちるわけです、そこでアクセルオンしてもすぐ先程までと同じように最大過給できるかと言われると多少のラグが発生すると思いますが、逆に排出された余剰圧力をタービンブレードに当てる事でブレードの回転失速を少しでも和らげようとしてるのかも知れません、でもそれよりはどちらかと言うとアクセルオフした際はタービンからエアクリの空気もスロットルを閉じて行き場を失ったようにエアクリ側に流れる空気があるかもしれません、そんな流れをまた正常に戻すには多少なりともレスポンスを失うのでとりあえず余剰圧力をタービンブレード側に排出してそれをタービンで吸うことでレスポンスを落とすことなく通常の吸気慣性に早く戻せるのかもしれません。

 

余談ですが、私はこのタービン付近まで戻す機構を利用してブローバイガスもブローオフバルブの吹き返しのラインに混ぜてタービンブレードの吸入負圧に吸わせることで過給している際も積極的にクランクケースを負圧にしています。

 

因みに、私は随分前にサクションからスロットルの手前にワンウェイを取り付けて負圧の時にサクションからタービンをバイパスしてスロットル直にできるか試したことがありましたが、あまり意味はなかったですね。多分タービンに吸い込まれる吸入負圧の方が強いのでしょう。

所詮はスロットルの手前ですから、スロットルの隙間からのインマニ負圧とタービンブレードの回転による吸入負圧には太刀打ちできないんだと思います。

そういった意味ではやはり、インマニに直接ダイレクトに吸気できる今回の方法の方が効果はあったのだと思います。

 

PCVを新たに手に入れるにあたり、私はホンダの純正PCVを購入しました。f:id:MintVanilla:20230120232507j:image

もちろんVWグループの物を使った方が良いかと思ったのですがサイズ感がちょっとあまりよろしくなかったのです、インマニ負圧が取れるところの径とマッチングがよくなかったので結局そこで径の変更とかをしなければならなくてインマニからPCVの距離が長くなってしまうと、そうなると、過給がかかった際にそのPCVまでの距離の分だけ過給レスポンスが悪くなるだろうなと思ったのでなるべくインマニからPCVまでの距離を詰めたくてホンダ車の物にしました、形が良いですよね、L字になっているのでサクション部までホース一本ですみます、これが真っ直ぐのタイプだとホースに曲がりをつけたりしなくちゃならないので結構大変です。

まぁこのホンダのPCVも実際のサイズが書いていないのでみんカラ等で交換している人の指とか他のパーツとのサイズ感でいい感じかなって買ったらぴったりだったという代物なんですが。

 

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赤マルが今回取り付けたPCVです、インマニ圧を取れる所からすぐの所に付いています。

緑丸がサクションです。

L字のおかげでかなりホースを簡素化出来ました。

 

最後に、私は今回のPCVを用いたバイパス法とは別に、クランクケースを減圧しています、その双方の結果で出だしのしゃくりが改善したのかもわかりません、しかしながら、ブローバイを大気解放している時もこのバイパス法でしゃくりは出なかったのでおそらくこのバイパス法が功を奏したに違いないなと思っております。

最後に私のエンジン全体の空気の流れの図を書いておきます。

TT8N負圧時、過給時のブローバイとエアの流れ

このような感じになります。

フランケンシュタインエンジンルーム

つぎはぎだらけでホースだらけのまとまりの無いエンジンルームですが、機能美を求めたらしかたがありませんね。